Author: Y. Kobashi
Date : 2000/04/22 (modified); 1996/04/25 (created)


小橋康章,「決定を支援する」,東京大学出版会,1988

第2章 意思決定の研究


意思決定を支援するというのはどういうことだろう.意思を決定するというこ とそのものは実はそれほど難しいことではない.既に述べたことと矛盾するよ うだが,決定の難しさは私たちが少しでもうまく意思の決定を行なおうとする とき初めて生じるのであって,その決定に,望ましい結果やおぞましい結果や, あるいはそのほかの質に関する考慮がつながっていなければ,あれかこれかを 選ぶだけなら何の造作もないことではないか.そういう意味では個人的な意思 決定の問題は私たちの心の中にある.しかし私たちがいったん意思決定をより よく行なおうと決心すると,そのためのノウハウはしばしば他の人々とわかち あうことができるものであったり,またよりよい決定の手続き自体が他の人々 の存在を考慮にいれたものであったりする.意思決定をよりよく営むためのさ まざまな行為が意思決定の支援である.そして意思決定の支援のためにおこな う知識の拡充の行為を意思決定のための研究と呼ぶことができる.

広い意味での意思決定に関する研究には,意思決定についての研究も,意思 決定のための研究も含まれるであろう.いまここでわざわざこうした区別をも うけるのは,この2つの活動の間で,相互の協力も知的な刺激の交換もありう るけれど,研究の発展の方向が大きく異なっているためである.こうした発展 の方向の差異は研究の評価に大きな影響を及ぼすことがある.


2.1 意思決定研究の分類
2.2 意思決定問題
2.3 属性で表現される選択肢
2.4 確率判断の修正
2.5 確からしさと価値
2.6 結論

E-mail: PDB00176@nifty.ne.jp (Yasuaki KOBASHI, Tokyo)
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